稲垣寿美恵さんインタビュー

(インタビュー・IAU  コミュニケーション委員会 高津 譲)

稲垣さんはエアロビクスやヨガのインストラクターをしながら日常的にランニングを行い、27年間のランニング生活で過去にいくつものレースで優勝している日本を代表するウルトラランナーです。

これまでにSpartathlonで優勝2回・IAU24時間走世界大会で優勝2回・Badwaterでも2回優勝しています。

また、48時間走(397.103㎞)では3回世界記録(2006年・2008年・2010年)を更新しているなど数多くの輝かしい実績があります。

1994年にスポーツクラブのバイトの先輩にホノルルマラソンに誘われてランニングを始めました。

1994年のホノルルマラソン(4:55:38)が初めてのレースです。

翌年(1995年)にもホノルルマラソン(4:30:52)に出場しましたが、前年度(1994年)はレース途中で歩いてしまったのでこの時は歩かずにゴールすることを目標に参加しました。

その翌年(1996年)にはニューヨークシティマラソン(4:09:27)に出場して、1997年にはパリマラソン(3:42:08)にも出場しましたが、当時は海外旅行に行きたい一心で海外レースに参加していました。

その他の海外フルマラソンには、ローザンヌ(スイス)・ベルリン(ドイツ)・ロッテルダム(オランダ)にも参加しました。

また、日本国内でも東京マラソン・大阪国際女子マラソン・名古屋国際女子マラソンに参加しました。

当時(1997年)、通っていたスポーツクラブの友達に誘われて50㎞(4:44:01)のレースに出場しました。

ちなみに初めての100㎞レース出場は翌年(1998年)の「サロマ湖100㎞」でしたが、低体温症により87㎞でリタイヤしました。

優勝したレースはスパルタスロン(2006年・2009年)・バッドウォーター(2011年・2012年)・IAU24時間走世界選手権(2004年・2006年)・東呉大学国際ウルトラマラソン(2006年・2007年)・台北ウルトラマラソン(2018年・2019年)・サンディエゴ全米選手権(2005年)・スルジェール(2006年・2008年・2010年)・エンデュランス24hウルトラランESPOO(2010年~2015年)・アテネウルトラマラソンフェスティバル(2011年)・あきるのジャパンカップ(2003年)・さくら道国際ネイチャーラン(2005年)などです。

スルジェールでは3回(2006年・2008年・2010年)、当時の48時間走女子世界記録を更新しました。
また、2011年のフィンランド(ESPOO)では当時のインドア女子世界記録(240.631㎞)を更新しました。
尚、前年(2010年)に同大会では241.426㎞を走っていますが非公認記録となりました。

トレイル以外のウルトラマラソンは距離走も周回走も好きです。
トレイルは怪我をするリスクが高く、怪我をすると仕事に影響するので走りません。

2016年ハンガリーの6日間走(EMU 6day Race)での713.530㎞です。
ちなみに練習での最高距離は130㎞くらいです。

私は速く走れないのでなるべく休憩をしないでコース上に留まって少しでも距離を稼ぐように走るのが私のレース戦略です。 

過去27年間のランニング生活で148レースほど出場しました。
リタイアをしたのは3レースですが、残りのレースは全てゴールをしています。

フルマラソン×45レース
100㎞×24レース
200㎞超×14レース
24時間走×23レース
48時間走×7レース
6日間走×5レース

なので、ウルトラマラソンは80回以上完走していると思います。

月間走行距離は500㎞ほどですが、レース前は徐々に走行距離を減らします。

レース一か月前から鉄分補給の為に薬やサプリを採るようにして、レース二週間前になったら睡眠時間を増やします。

あと、レースコースの高低差や寒暖差などを考慮して練習コースなどもレースコースに合わせて変えています。

一番の違いは持ち物が違います。
ロードでは携帯する荷物を少なくするのでウェア類以外は最小限の物しか準備をしません。
それとは逆に周回走は荷物を置いておけるので沢山の補給食などを用意します。

エアロビクス・ヨガ・コンディショニングなどのインストラクターなので、これらの運動によって私の体は鍛えられていると思います。

いつまでも走り続けられるようにコンディショニングをもっと多くのランナーに広めたいです。

いつも別レースやイベントと被っていて参加できなかった「沖縄サバイバルラン」(制限時間72時間400㎞)に出場したいです。

あと、本州縦断(1550㎞)にも参加してみたいです。

レース後に倒れて何回も点滴のお世話になっています。

また、スパルタスロンの表彰式会場が分からず、迷子になり表彰式に間に合いませんでした。その時は代理の人がメダルを受け取っています。

食べやすい食事が好きなのでお湯を使って作るスープやお粥などを食べます。
あと、常日頃食べているお菓子やヨーグルトもレースでは用意します。

限界まで我慢して、どうしようもなくなった時点で仮眠をします。

レース後はいつも浮腫むのでリンパマッサージをします。
レース後から暫く走ることはしませんがお湯に浸かったりして体のケアに努めます。

『やめたかったらやめたらいいんじゃない。走るのはあなたなんだから』

特にいないので自分の好きなように走っています。

ランニングのレースに出場して、世界中のいろいろな人に出逢えることです。

体が壊れないように。体が弱らないように。

ストレッチはいつもします。
レース前は絶対にしますが、レース後は体の回復に合わせて徐々に行います。

トレッドミルで走るシューズは何年も使用することがあります。
また、屋外用シューズは靴底が減るまで使用します。
その時の足の状態によって靴底の減り方が違うので何とも言えません。

シューズは一種類のみで履き分けていません。
尚、シューズのメーカーは殆どがミズノを履いています。
しかし、モデルチェンジでシューズが合わない時は他社のシューズを履きます。

ガーミンを使っています。

昼間はほぼ一人で走りますが、夜間は必ずランニング仲間と一緒に走ります。
昼間は事故に遭っても発見される可能が高いですが夜は危険です。
夜間は事故に遭った場合にすぐに発見される可能性が低いからみんなと走ります。

いません。

200㎞レースは年間2レースくらい・100㎞レースも年間2レースくらいの合計4レース程度です。

20歳からエアロビクスをしています。
ちなみにダイエット目的でエアロビクスを始めました。

限られた人の中でウルトラマラソンの人気はありますが、一般的にウルトラマラソンの認知度はまだ低いと思います。

ウルトラマラソンはレース時間や練習時間が長いので、まずは環境面を整える必要性があると思います。

例えば名古屋ウィメンズマラソンでは託児所が設置されているので、この様な環境面の整備を進める事が競技人口の拡大に繋がると思います。

コロナ渦によりレース会場へ行けなくなりました。
しかし、レース会場へ行けない分は近所を走ることが多くなりました。